中国留学情報

vol.078 普通話ならば北京?

お客様から留学先のご相談を受けるとき、
地域について、よくこんなことを言われます。


「標準語を勉強したいので北京に留学したい」


これ、間違いです。
はっきり言いますが、完全な勘違いです。



まず、
●中国の標準語は「普通話」といいます。
「北京語」ではありません。


そして、
●「北京語」とは北京方言のことです。



中国の標準語として人工的に作られた言語、
それが「普通話」です。

北京地方で使われる方言、
それが「北京語」です。

「中国の標準語=北京語」
これは完全な間違いなんです。



ですから、
「北京語を勉強しに北京に行く」
なんて話を中国人が聞くと、

「あぁ、本場の北京で北京方言を勉強するんだな」
と思われます。笑



なにせ北京は首都ですから。
「北京語=標準語」と誤解するのも無理はないです。

ですがそれは、
日本の首都が東京だから、
「江戸っ子のべらんめぇ口調=日本の標準語」
と言っているようなものなんです。




では、中国の標準語である「普通話」、
これが最も標準的に話されているのは?


一般には
●黒龍江省ハルビン市
●吉林省長春市

この2都市だと言われています。



この2都市は私も何度も行ってますが、
確かに抜群に聞き取りやすいです。

同じ東北地区でも瀋陽などは訛りがある。
大連なんて豪快に訛ってます。
それに比べて、ハルビン、長春は別格です。




では、中国に留学するならば、
ハルビン、長春以外はダメなのか?




う~ん、
ちょっと違うんですよねぇ。




まず、大学での授業ですが、
留学生担当の中国人教師は、
みなさん標準的な普通話を使われます。
(ちゃんと国家試験があるんです!)


また、学内で接する中国人学生も、
地域によっては多少の訛りはありますが、
総じて標準的な普通話を話します。



大学の一歩外に出るとどうか?
そこは方言の世界です。


中国全土どこに行っても、
必ず方言があります。
北京語、上海語、広東語などなど。


ところが、よほどのお年寄りを除いて、
みなさん普通話を話せます。

もちろんある程度の訛りはあります。
北京人は北京訛りの普通話、
広東人は広東訛りの普通話になります。

でも、コミュニケーション自体は取れます。



それに、
みなさん学外が訛ってると大騒ぎするのですが、
学外の地元民と交流する機会がどれくらいあるか。
冷静に考えたことありますか?



午前中は教室で授業。
午後は学内で互相学習や復習。
夜は部屋に戻って地道に勉強。

そうなると、実際に学外に出る機会って、
食事に行くとか、週末に買い物に行くとか。
その程度です。

さらに、そういうときの地元民とのやり取りって、
料理の注文と値段を聞くくらいでしょ。



イメージや、なんとなくじゃなく、
冷静に具体的に客観で考えると、
地元民とやり取りする時間って、
留学生活全体の1%にも満たないんです。



それだけのために、
わざわざハルビンと長春に地域を絞りますか?




そして、それ以上に大きなポイント。
それは、

「完璧な発音は必要ない」

という事実です。



日本で活躍している外国人。
例えば、外国人のテレビタレント。

完璧な発音の日本語を使ってる人っています?
1人もいないでしょ。

でも、ちゃんとコミュニケーションを取れて、
我々の何倍も稼いでいるんです。笑




別に発音が重要じゃないと言ってるわけではありません。
そりゃ、不正確より正確な方が良いですよ。


でもね、
「完璧じゃないといけない」
そう思い込みすぎてませんか?




日本人って変に完璧主義過ぎるんです。
発音は中国人とイコールの完璧じゃないといけない、みたいに。

けどね、
言葉なんて所詮はコミュニケーションツールです。
単なる道具です。
伝われば良いんです。


つまり、求めるべきことは、
「発音が完璧に正確である」ことではなく、
「伝わる程度の正確さ」なんです。


根が生真面目な日本人は、
100点の発音を求めます。
でも、100点の発音なんて必要ないです。
70点の発音で伝わるんですから。

日本で生活している外国人見れば分かるでしょ。笑


発音に完璧は必要ありません。




それ以上に、
留学に求めるべきことは他にもあります。


ヒアリング力、会話力を身に付けようと思ったら、
会話練習を豊富にできることが求められます。
具体的には1クラス人数の少なさです。


単語量を地道に増やしたり、
HSKの対策勉強をしたり、
そういった落ち着いて勉強できる環境、
つまり、1人部屋を確保できることも必要です。



発音に完璧は必要ない。

なのに、発音がキレイであることだけを求め、
発音がキレイな地域にある、
1クラス人数が25人で、
寮に2人部屋しかない大学に留学する。

それって変だと思いませんか?




留学先を選ぶ条件に、
発音のキレイさを入れることは間違いではありません。

ですが、
第一条件にはなりえません。



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【今週のまとめ】
1) 北京語=標準語は完全な間違い
2) 発音に完璧さは必要ない
3) 他に重視すべき条件がある
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